2016年、フリーランスエンジニアをしていた僕は毎日毎日案件探しにインターネットという大海をひたすらに泳ぎ、案件を画策していた。
そんな中、表示広告で突如現れたのがフリーランス向け案件マッチングサービスだった。WEBサイトを覗いてみると、業務委託案件がたくさん並んでいる。
フリーランスとして活動をはじめて2年、チーム規模の案件をやる必要性を感じ始めていたのでとりあえず週2日の案件を探してみようと会員登録してみた。
自分のプロフィールを登録し、ポートフォリオを提出する。数日後に面談の連絡がきた。
まずは登録面談
当時はSkypeでのビデオ通話だった。面談担当に自己紹介とこちらの希望を伝える。向こうからはサービスの説明を受けた。面談は滞りなく終わった。
その昔派遣社員として派遣会社に登録した時のあの感じを思い出したが、それよりはカジュアルというか、こちらの希望をかんがん伝えてしまったように思えた。
「ご希望にマッチする案件はいくつかあります」
程なくして送られてきたメールには4つほどの案件詳細が記載されていた。僕は迷わず全件にエントリーした。なぜ迷わなかったとかと言えば、よくわからなかったからだ。業務委託出向というスタイルについても、どういう業界があるのかも。
数日後、2社、書類選考が通過したという連絡があった。喜ばしい。そうなったら実際に先方に赴いて面談して契約となる。
僕はとりあえず面談に向けてH&Mでジャケットを買った。
訪問面談
小雨の中、江東区某所にいく。待ち合わせは駅前のカフェだった。
エージェントの担当の方と合流して簡単に本日の流れを伺う。コーヒーを飲み、会社に向かう。面談。就職やバイトの面談と一緒で慣れないが、若干違うように感じた点もある。先方がこちらに対して雇用の選考対象として見ているのではなく、契約の選考対象として見ている点を感じた。間に入るエージェントも派遣会社のようにあれこれケアするのではなく(もちろんケアはしてくれる)こちらの希望とスタンスを重視してくれる。なんというか、先方とエージェントと僕の関係に近郊が取れているように思った。
面談は和やかに終わった。この会社に決まればチャリでもこれる。新しい生活はきっと面白いだろう。期待に胸が膨らんだ。
エージェントの担当が帰り際に僕に言った。
「僕上京してきたばかりで友達いないんすよ」
知らねえよ笑。
まさかのアンマッチ
社内で協議して2日以内に連絡するとのことだったので2日待った。来た連絡はアンマッチ。
マジかよ!あんなに仲良く談議はずんだじゃないか!
後になって知ったことだが、談義が弾もうがアンマッチは全然起こりうる。理由はいくつかある。
・面談担当には好印象だったが、費用面で稟議が通らなかった。
・面談担当には好印象だったが、もっと好印象な人材が現れた。
・話してみてスキルがマッチしていないことに気づいた。
・会社の文化とマッチしていなかった。
ちなみに僕は「スキルはマッチしているが、専門的に『これしかできない』という人を探しているのでアンマッチ」というケースがあった。
手数を増やしたことが裏目に出たのだ。アンマッチだろうがくよくよしていられない、翌週にはもう1社の面談が控えている。
ラーメン食ってリトライ
その日は13:00から面談で担当とは12:45に待ち合わせだった。12:00に駅についた僕は昼食を食べにラーメン屋に入った。
「ニンニクは抜いた方がいいな」
あんまり匂いがキツくない塩ラーメンを選ぶ。食後に歯を磨いて、ブレスケアをいつも以上に服用する。
まあ今回もアンマッチなら実力不足だ。素直に受け止めてまた勉強しながら自分で取ってきた案件をやろう。気合は入れるが緊張しすぎることはない。
面談担当は同世代の2名だった。なぜか趣味の話に派生して「チップチューンいいですよね」という話になる。
チップチューンとは、ファミコンのようなチープな電子音楽のジャンルで、なぜかそこで意気投合した。チップチューンの話ができる人はそういうイベントに行かないと会うことがないのでそれだけで喜ばしかった。他に何を話したか覚えていない。
面談が終了し、エージェントの担当の方は先方と5分話をするので外で待つよう言われる。きっと僕のいない場で僕の悪口を言ってるんだ。
「あいつ音楽の話しかしてなかったぞふざけてんのか」
みたいなやり取りでもしているのだろうか。待つこと5分、エージェントの担当が帰ってきた。
「おめでとうございます。無事契約になりました!」
あ、そうなの?え?その場で出るの?というかあんなんで大丈夫だったの?
「再来週からお願いします。稼働当日までの案内は随時行います」
*
ちなみにその後、先方の面談担当だった人とはその後もクラブに行ったり温泉に行ったりして遊ぶ仲になった。
実際の稼働については次回。
クラウドテック
恵比寿にあるフリーランスエンジニア向けエージェント。サービス開始当初は週払いシステムがあったが今もあるのだろうか。大手からスタートアップまで幅広い。デザイン案件などエンジニア以外のものもある。