「起業するぞ!」と決意したものの、なにから始めたらいいのかわからない。
そんな方の道しるべとなるべく基本的な会社設立手順をまとめておこうと思います。
株式会社の名称は勝手には名乗れない
最近はマンションの一室で会社を運営できたり、パソコンと携帯電話があればデスク1つのフリースペースで社長業ができたりする時代です。
とはいえ、株式会社の名称を名乗るには法制度のルールにのっとって法人の登記を、本社地を管轄する法務局(いわゆる登記所)で行わなければなりません。
登記をするには申請書を作成して不備なく受理してもらう必要がありますが、そのためには定款の作成や代表印の作成、資本金の準備など登記申請のためにやっておかなければならないこともあります。
また、法人として事業を行っていくための営業許可の申請、金融機関や公的な機関からの融資を得たい場合もあるでしょう。
それに向けて綿密な事業計画を立てる必要や資金計画を立てる必要もあり、準備と手続きがとても重要になってきます。
そのための手続きの大まかな流れを確認し、どのような行動を取ればいいのか確認しておきましょう。
起業に必要な手続きや書類
まず、事業の拠点となる住所の用意が必要です。
自宅兼事務所の場合大家の許可が必要なケースもあります。
この点については別途記事にします。
以下の手続きは拠点住所が確保されている状態で進めてください。
①事業計画書の作成
まず、どのような事業をどのようにやっていくか、会社名、代表者や取締役、監査役などの役員の選定など基本事項を決定し、事業計画書を作成します。
法的な手続きにおいて、事業計画書は必須というわけではありませんが、作成するメリットは大きいです。
・資金調達の実現
・目標管理
・事業の落とし穴や注意点の発見
融資や助成金などによる資金調達において事業計画書は必須になりますし、事業を可視化して客観性を担保できます。
経営のシナリオに当たる書類なので、大変かもしれませんが作成しましょう。
②定款の作成
次に登記の申請時に添付も必要となる、会社の定款を作成しなければなりません。
定款とは会社の憲法のようなもので、会社名や会社を設立する目的や資本金の額、代表者名や取締役会や監査役会のことなど、会社の基本となる事項を示すものです。
形式的なものとして雛型などもありますが、それぞれの会社に即した内容を記載する必要があります。
その上で、公証役場という機関に持ち込み、公証人に定款の認証を受ける必要があります。
③会社印の用意
会社設立の登記を行うためには申請書類を作成して、会社印と代表者印を押さなければなりません。
そのため、会社印や代表者印を作成しておく必要があります。
これは印鑑屋さんでお願いできますが、会社名は既成品で用意できるものではないので、オーダーメイドで作ってもらうのが一般的です。
金庫に保管するほど重要なものでもあるので、それなりにきちんとした素材で高品質なものを作るのが基本と言えるでしょう。
④資本金の払い込み
次に資本金の払い込みを行います。
かつては株式会社の設立には最低資本金制度が設けられていて1000万円の資金を銀行口座に用意したことを、銀行で確認してもらう払込証明書の添付も必要でしたが、現在では最低資本金制度は撤廃されています。
もっとも、定款に定めた資本金の払い込みはしなければなりません。銀行で自分の口座にお金を入金して、記帳したら通帳のそのページの記帳欄、表紙、個人情報欄をコピーし、表紙をつけて製本します。
また見開きページの綴り部分に契印をすることもお忘れなく。
いよいよ会社設立!法務局への書類提出
登記書類を作成して印鑑などを押し、必要書類を添付したら、管轄の法務局に出向いて提出を行います。
登記に必要なその他の書類は以下です。
発起人の決定書
会社定款では本店所在地の詳細を記載しないことがメリットになることがあります。
その場合、本店所在地はこちらに記載が必要になります。 また、この「発起人の決定書」では代表取締役が誰なのかを明示します。
この書類はインターネットでテンプレートをダウンロードできることが多いです。
代表取締役・取締役・監査役の就任承諾書
取締役が「私は取締役に就任したことを承諾した」ということを証明するための書類です。
代表取締役の他に取締役・監査役がいる場合はそれぞれ1枚ずつ作成する必要があります。
この書類はインターネット上でテンプレートをダウンロードできることが多いです。
取締役の印鑑証明書
定款の認証を受ける際に取得したものと同じ証明書です。
取締役が複数人いる場合は、全員の印鑑証明書を取得しておきましょう。ただし取締役会を設置している場合は、代表取締役の証明書のみでOKです。
印鑑届出書
会社印の届出のために必要な書類です。
法務局サイトで書式をダウンロードできます。
法務局 http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html
上記書類の内容を保存したCD-R
不備がなければ、数日程度で登記が完了しますが、不備があると呼び出されて、今一度書き直しや足りていない書類の提出などをしなければなりません。
ご自身でも行うことができ、法務局の登記官に教えてもらいながら作成もできます。
もっとも、不備なく一発で通したいなら司法書士や設立代行サービスという登記の専門家に依頼するのが良いかもしれません。
登記後も様々な手続きが待っている
登記ができたら、その場で法務局にて登記事項証明書と会社代表印印鑑証明書を何通かまとめて取得しておきましょう。
登記事項証明書は会社設立後の様々な申請や手続きで提出を求められるものなので、いちいち取りに行かなくても済むようにまとめて取得しておくと良いかもしれません。
利用には発行から何か月以内という縛りもありますが、すぐに手続きするものを中心に必要な枚数プラスアルファで予備を取得しておくと、忙しくなっても便利です。
取得には1通あたりいくらという印紙税がかかりますので、所定の収入印紙を法務局の窓口で購入して、請求書を作成して添付した上で、窓口で発行してもらいます。
まず、株式会社の法人税や消費税などの申告がこれから必要になってくるので、法人を設立したことや事業年度についてを税務署に設立届という形で提出します。
都道府県・市町村税事務所にも設立届、従業員を雇う場合や役員に関して社会保険の手続きが必要になるので、年金事務所や健康保険組合、労働基準監督署や公共職業安定所に対して設立届の提出が必要となり、これらの申請時にはいずれも会社の登記事項証明書の添付が必要です。
また、金融機関にて法人口座を開設する際にも登記事項証明書または会社代表印印鑑証明書が必要になりますし、必要に応じて融資を受ける場合や、保険会社で経営者保険や従業員の福利厚生保険、事務所の火災保険などに入る際にも登記事項証明書や会社代表印印鑑証明書が必要になるのが一般的です。
税理士への依頼
税理士は、税務面のサポートや融資や助成金の取得など財務会計面の力になってくれます。
会計ソフトを使用しても決算を独学でやるのは難しいですし、顧問税理士の手配は必須かと思います。
まとめ|起業は簡単、だけど手続きは難しい!?
いかがでしたか?
起業に必要な基本的な手続きをまとめましたが、これだけの手続きを代表者一人でやるとなると大変です。
一般的には法人登記のサポーターとして、法制度上、唯一登記をする代理ができる司法書士に依頼するとスムーズです。
司法書士の中には他の専門家と連携しながら、一連の設立手続きをサポートしてくれるサービスを提供しているケースもあります。
この手続きを終えたら晴れて一国一城の主人となるわけです。
めげずに、着実にこなしましょう!頑張ってください!